【解決事例】偽造在留カードを所持する外国人を雇用したため不法就労助長罪の嫌疑を受けたが弁護士の介入により事なきを得た事例
事例の概要
業種 :建設業建設業
外国人の国籍 :ネパール
外国人の在留資格 技能実習
外国人の職種:建設業
(刑事事件関係)被疑罪名:不法就労助長罪 入管法73条の2 労働施策推進法28条
事案の説明
A社は大阪府 秋田県 長野県に事業所をもつ建設会社(太陽光パネル設置等)でした。同業のネパール人紹介でアルバイト雇用していたネパール人8名を太陽光パネル設置作業をさせていたところ、ある日突然長野県の現場に警察がきて、そのときいたネパール人のアルバイト2名と現場責任者を任意同行していきました。
A社社長の平井さん(仮称)は驚いて、弊所にご相談に来られました。4
相談の背景
A社は太陽光パネルメーカーから依頼をうけて長野県の現場で設置事業を行っていましたが、同業者から紹介をうけたネパール人は外国人の在留カードが「定住者」になっており、資格外活動許可の記載もあったため、として3名のネパール人を雇用していました。
しかし、その在留カードは「技能実習」を「定住者」に偽造したものであり、当該外国人は技能実習実施場所から逃走して偽造した在留カードを利用してアルバイトしていたのでした。
おそらく紹介者は外国人材ブローカーだと思われます。
不法就労助長罪の特徴
入管法73条の2 1項1号の不法就労助長罪
外国人に不法就労活動を「させた」とは
「外国人との間で何らかの対人関係上優位に立っており、外国人が事故の指示通り不法就労活動に従事する状態にあることを利用して積極的に働きかけ、そのことにより外国人が不法就労活動に従事するに至ったことを意味する」のが判例です。
すなわち、事業主 経営者でなくても現場の職長という立場(監督的立場)でも不法就労助長罪は成立します。
入管法73条の2 2項では不法就労であることを知らないことを理由として処罰を免れないと規定しており、
同項但し書きでは「ただし、過失の無いときは、この限りでは無い」として過失が無かったことの立証を事業主側に負担させています。すなわち、不法就労にあたることを過失無く知り得なかったことを立証しなければ罪を逃れられない構成になっています。
過失=確認に当たって尽くすべき手段を全て尽くさなかったことを意味する。
尽くすべき手段を全て尽くしたとは言えず「過失」に該当することになります。
解決ポイント
弁護士が介入して、これまでの雇い入れの経緯を聴取し、すぐに外国人らの雇用に当たり徴収した資料を保存整理させました。
さらに取調が任意であり、自分が話していない調書の記載には訂正を求めサインを拒絶するべきであることなど取調に対する対応を徹底しました。
そして当該外国人の紹介者に連絡をとり、今後必ず捜査の手が及ぶことを伝え警察に出頭を促しました。
また、外国人が現場に残した書類や写真など残留物を警察に届出させました。
現場の職長は任意同行をうけましたが、無事に不起訴処分で済むことが出来ました。