外国人をアルバイトで雇用する際の注意点

1、アルバイト採用の可否

(1)留学生をアルバイト雇用できるか

Q 留学生をバイトで雇用するときの注意点はありますか

<大前提>

資格外活動の許可

・残業時間を含めて週28時間以内

・学校の長期休暇中のみ1日8時間までアルバイト可能

・風俗営業などに就くことは禁止

※詳細は下記にて解説します。

 

A 1 概説

 留学生の在留資格である「留学」は、「日本の教育機関で教育を受ける」ために許可されたものであり、就労は認められていません。日本で仕事をすることができない在留資格です。ただし、入管局から「資格外活動の許可」の届け出をして許可を得ている人だけは、法律により(入管施第19条第5項)、残業時間を含めて週28時間以内の範囲でアルバイトが可能となります。所定労働時間が週28時間なら、28時間までしか働けません。業務が多忙で残業が増えて週28時間を超えてしまった、というのは違法になります。また、2社以上でバイトを掛け持ちしている場合、全部の企業の労働時間を合計して週28時間までとなります。1つのバイト先の上限がそれぞれ28時間までではない、ということに注意が必要です。これはとても重要なポイントです。

 学校の授業のある時期は前述したように週28時間が上限ですが、夏休みなど「学則で決まっている長期休業期間」中に限って、1日8時間までアルバイトが可能となります。この場合も日本人と同様に労基法が適用されますので、週40時間が上限となります。なお、「学則で決まっている長期休業」以外の期間は、たまたま授業の休講が多くても、この取り扱いはできませんので注意が必要です。

 このほかの注意点としては、留学生が下記に挙げるような風俗営業(風営法第2条で「風俗営業」とされているもの)のアルバイトをすることは禁止されています(入管施第19条第5項)。

 

・パチンコ店

・まあじゃん店

・照度10ルクス以下のバーや喫茶店

・キャバレー

・ホステス、ホストのいる飲食業

・性風俗関連特殊営業

など

 

 もし留学生が風俗営業のアルバイトをすると不法就労になり、雇った事業主も3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます(入管法第73条の2第1項)。 

 

2 対応方法

 大前提として「資格外活動の許可」を得ていなければアルバイトは違法になりますので、まずは採用前に注意が必要です。

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(2)観光目的で来日した外国人をアルバイト雇用できるか

Q 観光目的で来日した外国人をアルバイトで雇うことはできますか。

不法就労で違法です!!

観光で来日した外国人は日本で働くことは禁止されています。もしアルバイトをすると不法就労になり、外国人本人と雇った人も処罰されます。

 

A 1 概説

 観光や親族訪問で短期間来日した外国人には、数日~90日の有効期間の「短期滞在」の在留資格が与えられます。日本に到着した空港(または港)で、パスポートのページの空欄に名刺の半分の大きさの「上陸許可 在留資格 短期滞在」と書かれた証印シールが貼られて許可されます。「短期滞在」の在留資格の外国人には、在留カードが発行されません。そしてアルバイトも含め、日本で就労することを認めていません。アルバイトでも雇うことはできず、雇うと不法就労になり、外国人本人と雇った人の両方が処罰されます。「短期滞在」の在留資格で来日してお金を稼ぐことは「不法就労」で違法な行為なのです。 そうならないためにも、面接時に在留資格の確認は必ず行いましょう。その際、在留期間のチェックも忘れずに行います。

 また、「短期滞在」の外国人は、ハローワークで職探しをすることはできません。ハローワークで求職の登録をしても、受付が拒否されます。厚生労働省が管轄するハローワークでも入管行政と歩調を合わせて、「短期滞在」の外国人に対しては、職業紹介を行いません。

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2、資格外活動のアルバイトの注意点

(1)何社か掛け持ちのアルバイト留学生の対応は

Q 何社かアルバイトを掛け持ちしているバイト留学生の対応は

合計で28時間以内

でないと違法です!

2社以上で掛け持ちでアルバイトをしている場合は、すべてのアルバイト先での勤務時間の合計が週28時間以内にならないといけません。

※詳細は下記をご覧ください。

 

A 1 概説

 「留学」の在留資格は、日本の大学等で教育を受けるために与えられ、仕事に就くことは原則、禁止されています。ただし、資格外活動の許可を得たときに限り、週28時間以内の範囲でアルバイトをすることができます。この28時間というのは「一つのアルバイト先について28時間以内」ではありません。2つ以上のアルバイトを掛け持ちしている場合は、すべてのアルバイトの勤務時間の合計で、週28時間以内でなければいけません。それが28時間を越えていると不法就労となり、違法です。夏休みなど「学則で決められた長期休業期間」に限り、週28時間以内の上限が1日8時間以内まで拡大されます。その際も、日本人と同様に労基法が適用されますので、週40時間が上限になります。この1日8時間以内の考え方も、2つ(以上)のアルバイトを合計して1日8時間を超えると不法就労になります。

 入管局から「守るべき法律を守っていない外国人」と判断されると、これまでの在留状況が不適切という理由で、在留資格の更新・変更が不許可になることが珍しくありません。留学生本人に1年以下の懲役・禁錮や200万円以下の罰金が科されることもあります(入管法第73条)。禁錮以上の刑事罰に処されると退去強制(国外退去)の対象になります(入管法第24条第4号へ)。アルバイトは必ず上限時間を守って行ってください。

 留学生のアルバイト先の経営者の立場としては、留学生が掛け持ちバイトをしているかどうかわからない、ということも多いと思います。その場合の一つの方法として、アルバイトとして採用する際に掛け持ちバイトは禁止することを明らかにし、掛け持ちをしないことを誓約書で誓約させるという方法もあります。

実際に28時間以上アルバイトを働かせた結果、企業が書類送検された事例を紹介します。

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 とんこつラーメンチェーン「一蘭(いちらん)」で法定時間を超えて留学生を働かせたとして、大阪府警は6日、同店運営会社(本社・福岡市)の吉冨学社長(53)や労務担当責任者の女性(39)、店長ら計7人と、法人としての同社を出入国管理法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検したと明らかにした。
吉冨社長については雇用対策法違反(外国人雇用の無届け)の疑いでも書類送検した。

 南署によると、吉冨社長らは昨年9~11月、大阪市中央区の「一蘭 道頓堀店本館」など2店で雇っていたベトナムや中国からの20~27歳の留学生計10人を、出入国管理法が定める週28時間を超えて働かせた疑いなどがある。
最長で週39時間以上働き、月21万円を得た留学生もいたという。また吉冨社長は、留学生を雇ったのに名前や在留期間などをハローワークに届け出なかった疑いがある。

 吉冨社長は、不法就労について「把握していなかったが自分の責任」と容疑を認め、外国人雇用の届け出は「法律を知らなかった」と話しているという。
店長らは「サービスを維持するために人手が必要だった」「約500人のアルバイトの勤務を管理できず、確認もできない状態だった」などと話しているという。

 一蘭の広報担当は取材に「アルバイトのシフトを把握できていない甘い部分もあった。留学生の労働時間が週28時間を超えないよう、全店を挙げて徹底していく」と話した。

朝日新聞DIGITAL より引用)

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(2)日本語学校生や大学生のアルバイトできる時間は

Q 日本に留学生として来日している外国人がアルバイトできる時間に制限はありますか。

学校がある時期は

週28時間以内です!

夏休みなど学則による長期休業期間は1日8時間まで拡大されます。これは日本語学校、専門学校、短大、大学、大学院の全てに共通の取扱いです。

※詳細は下記をご覧ください。

 

A 1 概説

 留学生のアルバイト可能な時間は入管施第19条で決められており、下記は特に重要事項となります。

・週28時間以内というのは残業時間を含めた時間

・勤務先が複数あれば全部の勤務先の合計で28時間以内。(1社につき28時間以内ではない)

・日本語学校、専門学校、短大、大学、大学院のどの留学生でも同じ取扱い

(ただし、大学に在籍する「専ら聴講による研究生・聴講生」は、週28時間ではなく、週14時間以内。)

 学校の授業がある時期は、週28時間が上限です。校則で決められた長期休業期間のみ、1日8時間以内まで拡大されます。日本人と同じく労基法も適用されますので、この場合でも週40時間が上限になります。「1日8時間以内」が可能なのは、学則による長期休業期間に限られています。それ以外の時に休講が重なるなどして、アルバイトの時間を増やすことが可能な状態になっても、学則による長期休業期間でなければ、週28時間以内が上限です。上限が1日8時間以内に拡大される期間を判断するときは、この基準をあてはめます。 このように入管法で定められているため、留学生は日本人学生と同じシフト勤務ができないケースも出てきます。また、アルバイト採用当初は週20時間勤務で勤務を始め、仕事に慣れてきた頃に勤務時間を増やす場合でも、「週28時間以内」を守った勤務時間にすることが重要です。

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(3)アルバイト留学生を雇用できない業種は

Q 留学生のアルバイトを雇用してはいけない業種はありますか

風営法第2条の「風俗営業」は禁止です!

キャバレー、パチンコ店、ばあじゃん店、ナイトクラブ、ダンスホール、照度10ルクス以下のバー・喫茶店などの風俗営業、性風俗関連特殊営業でのアルバイトは禁止です。

※詳細は下記をご覧ください。

 

A 1 概説

 留学生がアルバイトをするのを禁止されている業種は、入管法で決められており(入管施第19条第5項)、風俗営業や性風俗関連特殊営業などの業種です。ここで言う風俗営業とは、都道府県の公安委員会から風俗営業の許可を得なければ営業できない業種のことで、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の第2条で「風俗営業」として定められた営業です。具体的には、キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、照度10ルクス以下のバー・喫茶店、ホステス・ホストのいる飲食店、パチンコ店、まあじゃん店、社交飲食店などです。これらの業種で留学生がアルバイトをすることはできません。留学生にアルバイトをさせると、雇った事業主が不法就労として処罰されることがあります。風俗営業の範囲を具体的に確かめたいときは、風営法第2条で確認することをお勧めします。

 また、性風俗関連特殊営業と言ういわゆるピンク産業、エッチなことをするお店の仕事に就くことも禁止されています。仮に日本人学生がアルバイトをした場合でも、学則違反になったり、学生としてのモラルの面から問題ですので、留学生についても同じです。入管局は、そういった仕事は常識的な学生が普通に行うアルバイトの範囲内のものではないと考えています。留学生に性風俗業のアルバイトをさせると、事業活動に関して外国人の不法就労をさせた者として、雇った事業主に3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。両方が科されることもあります(入管法第73条の2第1号)。また、留学生本人についても、1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金に処されることがあります(入管法第73条)。そして、禁錮以上の刑事罰に処されると、退去強制(国外退去)の対象になり(入管法第24条第4号9)、日本に在留することができなくなります。

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(4)留学生の家族をアルバイトで雇用することは

Q 外国人留学生の家族をアルバイトで雇い使ってもいいのですか

資格外活動の許可が必要!!

「家族滞在」の在留資格の外国人も、資格外活動の許可を得ていれば週28時間の範囲内でアルバイトが可能です。ただし、1日8時間以内までの拡大の取扱いはありません。

※詳細は下記をご覧ください。

 

A 1 概説

 留学生が夫婦で来日している場合、学生ではない妻(もしくは夫)の在留資格は「家族滞在」が一般的です。「家族滞在」は「留学」の在留資格の外国人に扶養される配偶者または子に与えられる在留資格です。留学生が最初から配偶者と来日するケースや、初めは一人で来日し、しばらくしてから本国から配偶者を呼び寄せるケースがあります。また、留学生同士のカップルが日本で結婚し、結婚・妊娠などをきっかけに妻が学校を退学し、「留学」から「家族滞在」の在留資格に変更するというケースもあります。

 この「家族滞在」の外国人も、資格外活動の許可を得ていれば、週28時間の範囲内でアルバイトができます。ただし、留学生の場合は週28時間以内の上限が、夏休み中などは1日8時間以内まで拡大されますが、「家族滞在」の在留資格の外国人は、1年を通じて週28時間以内が上限です。

 週28時間以内であれば、労働時間や勤務日数などを柔軟に設定できます。アルバイトという雇用形態に拘らず、週28時間以内の条件で、契約社員として勤務することも可能です。アルバイトというよりも、短時間勤務の高度なスキルを持つ契約社員というような形です。留学生の家族のみならず、「家族滞在」の在留資格を持つ外国人には、高学歴で専門性の高いスキルや知識・技術を持った人材がいる場合があるのです。

 「家族滞在」の在留資格は、外国人の扶養を受ける配偶者・子に与えられ、健康保険の扶養家族を判断する年収130万円以内といった年収の基準があるわけではありません。資格外活動の許可の範囲内であれば、年収が増えても、原則、在留資格が問題になるわけではありません。ただし、日本人と同様に、配偶者が健康保険の被扶養者の場合は、年収130万円を超えると扶養家族の対象から外れます。そして配偶者自身で国民健康保険に加入することが必要となります。

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(5)正社員の外国人が定時後に当社でアルバイトするときの対応は

Q よそで正社員として働いている外国人が定時後に当社でアルバイトとして働くときはどのような対応が必要ですか。

資格外活動の許可が大前提!!

アルバイトの内容によっては勤務できない場合があります。

入管局が単純労働とみなす業務には「資格外活動」が許可されませんので注意が必要です。

※詳細は下記をご覧ください。

 

A 1 概説

 アルバイトの仕事内容によっては勤務できない場合があります。留学生時代にアルバイト従業員として勤務していた場合でも、正社員として就職する際に在留資格が変わった後はアルバイトができない場合がほとんどです。勤務できる内容の場合でも、外国人があらかじめ「資格外活動の許可」を得ていることが前提となります。「人文・国際」、「技術」などの外国人が、勤務先以外で仕事をすることは資格外活動になり、あらかじめ「資格外活動の許可」を得ることが必要なのです。許可されて、はじめてアルバイトが可能になります。

 しかし、入管局が単純労働とみなす業務には原則「資格外活動」が許可されません。例えば「人文・国際」の在留資格の外国人が、コンビニのレジ担当のアルバイトをする場合などです。許可を得ずにアルバイトをすると不法就労ですので、絶対にしてはいけません。

 では、正社員としての業務業務とアルバイトとしての業務内容が同じ場合はどうでしょう。例えば、翻訳・通訳担当の正社員として働いている「人文知識・国際業務」の在留資格の外国人が、この仕事の定時後に別の会社でも翻訳・通訳のアルバイトをすることに関しては、基本的には「資格外活動の許可」を得ていればできます。その外国人の「人文・国際」の在留資格は前者である正社員で働いている会社で勤務することを前提に付与されているのであって、定時後にアルバイトをすることを前提に許可された資格ではないからです。在留資格は一人ひとり個別に審査され、一人ひとり個別に付与されます。「人文・国際」を得るときに、X社、Z社の2社で勤務することを申請し、許可されていれば、X社、Z社の両方で勤務することが「在留資格で認められた範囲の仕事」になります。そうでなければ本来の勤務先以外の仕事は、原則、資格外活動になりますので「資格外活動の許可」を得る必要があることに注意してください。

 では、外国人が知人や友人の日常家事の手伝いをしてお礼として日当をもらうのはどうでしょうか。日常家事の手伝いの謝金であれば問題ありません。ただし、繰り返し仕事のようにして行うことはできません。入管法では、このような資格外活動には当たらない謝金、報酬の範囲を明示しています(入管施第19条の3)。

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