【解決事例】偽造在留カードを所持する外国人をアルバイト雇用し、さらに資格外活動の範囲を超えて就労させていたため不法就労助長罪の嫌疑で取り調べを受けたが弁護士の介入により不処分に終わった事例

事例の概要

業種 :コンビニ

外国人の国籍 :ベトナム

外国人の在留資格 技能実習

外国人の職種:店員

(刑事事件関係)被疑罪名:不法就労助長罪 入管法73条の2 労働施策推進法28条

事案の説明

Aさんは大阪市内で2カ所でコンビニエンスストアを経営しておりました。

 雇用している外国人にコンビニ店員として勤務させていたところ、実は外国人が偽造在留カードを所持していたとして警察から連絡がありました。

 Aさんは自らも28時間を超過して勤務させていたことを認識しており、悪いことにこれを隠すために超過賃金は繁忙手当として支払い、28時間以内の勤務であるかのように見せかけていました。

 Aさんは外国人の不法就労もさることながら自分のやったことも問責されると不安になり相談に来られました。

不法就労助長罪の特徴

入管法73条の2 1項1号の不法就労助長罪

外国人に不法就労活動を「させた」とは

「外国人との間で何らかの対人関係上優位に立っており、外国人が事故の指示通り不法就労活動に従事する状態にあることを利用して積極的に働きかけ、そのことにより外国人が不法就労活動に従事するに至ったことを意味する」のが判例です。

さらに、入管法73条の2 2項では不法就労であることを知らないことを理由として処罰を免れないと規定しており、

同項但し書きでは「ただし、過失の無いときは、この限りでは無い」として過失が無かったことの立証を事業主側に負担させています。すなわち、不法就労にあたることを過失無く知り得なかったことを立証しなければ罪を逃れられない構成になっています。

過失=確認に当たって尽くすべき手段を全て尽くさなかったことを意味する。

尽くすべき手段を全て尽くしたとは言えず「過失」に該当することになります。

解決ポイント

弁護士が介入して、外国人がどのような経緯で店舗に問いあわせてきたか、面接でどのようなやりとりがあったか、コンビニ店舗として本人確認や照会事項を聴取しました。

幸い、Aさんは偽造カードの失効照会はしていたので、その際の資料を保存し、聴取した事項について改めて整理し、手帳のメモなどについても保存させました。

この点、在留カードの失効照会では実は偽造カードか否かを見破ることはできません。

なぜなら、失効照会では在留期間が有効かどうかは判別できても在留資格について偽造かどうかは判別できないため資格外活動が認められていない在留資格、たとえば「技能実習」を「留学」と偽造されたら、その部分の偽造については在留期間内であれば偽造かどうかは判別できないのです。

ただ、失効照会が意味がないわけではありません。失効照会をしていることで上記無過失の立証資料として有用ではあります。

本件でも、無過失の一資料として失効照会の資料を保存したことは有用であったと考えます。

 もっとも、本件では28時間超過する勤務をさせていた点はぬぐえない点でした。この点については超過時間隠蔽の点も含めて正直に警察に提出させ、今後の適法遵守手段を説明且つ事情説明書を提出させました。

 また、労働施策推進法28条の外国人雇用状況の届出について未了であったので速やかにハローワークへの届出を履行させました。

 これら働きかけが奏功して不処分に終わりました。

その後は、外国人が複数のバイト先で就労することがあったため、所得証明を取得し、且つ外国人に誓約書など記載させるなどして資格外活動の範囲で就労させることを徹底することで不法就労を防止しつつ、重要な労働力である外国人を戦力として活用し店舗を繁盛させています。

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