外国人雇用に対応した就業規則の作成

「外国人を雇用しようと思うのですが、就業規則を変更する必要があるでしょうか」

「外国人を雇用した際、就業規則を外国人の母国語で作成する必要があるでしょうか」

 

就業規則の作成

就業規則とは、労働条件や労働者の遵守すべき事項について、会社側が定めた規則のことをいいます。常時10人以上の労働者を使用する企業は、就業規則を作成し、監督官庁に届け出なければなりません(労基法89条)。

 

そして、就業規則を作成する場合、最低限、①始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替勤務制に関する事項、②賃金に関する事項、③退職に関する事項、を定めておかなければなりません。

 

就業規則は、労務管理の効率化等を目的として、会社のために作成される一面があります。一方で、就業規則で定めた労働条件は、その事業場における最低条件としての効力を持ちますので、従業員を守る機能も有することとなります。

 

就業規則の有効要件

就業規則は作成し届け出るだけでは効力を生じません。労働者から意見聴取(労基法90条)し、労働者に周知(労基法106条)することで、はじめて就業規則は効力を生じます。

 

「意見聴取」とは、裁判例上、労働者が意見を「陳述する機会と時間的余裕が与えられた」ことを意味し、労働者の意見が採用されたり反映される必要はないものとされています(神戸地判昭和28年8月10日判決等)

 

「周知」に関しては、労基法106条1項および労基法規則52条の2によると、①常時作業場の見やすい場所に掲示しまたは備え付けること、②書面を労働者に交付すること、③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること、という方法で行われる必要があります。

 

例えば、①としては、作業場や食堂、更衣室に就業規則を備え付けることが考えられます。また、③としては、従業員のパソコンのデスクトップ画面に就業規則を表示すること等が考えられます。

 

外国人労働者への「周知」

外国人労働者を雇用した場合、当然、当該外国人労働者への「周知」も必要となります。それでは、どのようにして「周知」すればよいのでしょうか。当該外国人の母国語で就業規則を作成する必要があるのでしょうか。

 

外国人労働者の母国語での就業規則の作成は、法律上は義務付けられていません。しかし、就業規則の効力発生要件として「周知」が求められていることからすれば、外国人労働者を雇用する際には、全外国人従業員各々の母国語で作成するかどうかはともかく、少なくとも従業員が理解できる言語で就業規則を作る必要があると考えられます。

 

厚生労働大臣の作成する「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」において、「事業主は、外国人労働者との労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等主要な労働条件に付いて、当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付すること」と規定していることからも、外国人労働者を雇用する際には、外国語による書面を交付し、就業規則について説明することが必要と考えられます。

 

弁護士事務所によるサポート

就業規則に何を書けばいいのか。作成後どのような対応をすればいいのか。そして、外国人労働者が理解できる様な就業規則をどうやって作成すればいいのか。法律に不慣れな事業主の方には判断が困難なものと考えられます。

 

当弁護士事務所は、外国人労務問題、企業法務についても多くの実績を有しております。企業の取扱い業務等に応じて、どのような就業規則を作成し、作成後どのように対応すればよいか、綿密にサポートさせていただきます。企業法務に関しては2度目の相談までは無料となっておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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