在留資格とは?外国人雇用企業が知っておくべき基礎知識
在留資格とは
(1)在留資格と種類
Q 外国人の在留資格とはどんな資格なのですか
外国人の「在留資格」って言うけど、「在留資格」ってそもそもどんな資格なんだろう・・・
A 車の運転免許のように、役所が与える許可の一つです。在留資格が許可された外国人でなければ日本に滞在できません。許可されていないと不法滞在になります。
管轄は入管局です。
※詳細については下記をご覧ください。
1 概説
外国人が日本に入国し滞在することを希望しても、希望者全員が日本に入国・滞在できるわけではありません。入管局が審査して、許可された外国人だけが日本に入国・滞在することができます。入管法という法律で定められた条件や基準をパスした外国人だけに在留資格が許可されます。現在の日本は移民の受け入れを認めていない国ですので、もし外国人がどんな仕事でもよいから日本で仕事をしたいと希望しても、入管局は日本滞在に必要な在留資格を許可しません。
「就労ビザ」と呼ばれることの多い「就労の在留資格」を得るためには、専門的な知識・技術を持つ外国人が、日本で専門的な仕事に就くことが必要です。入管局が単純労働と考える仕事に対しては、該当する在留資格なしという理由で就労の在留資格は許可されません。また、日本人と結婚し、日本人の妻、または夫という法律上の地位のある外国人が、夫婦関係を証明する書類を付けて入管局に申請し、許可されると「日本人の配偶者等」という在留資格が与えられます。
このように、在留資格は「日本で活動するためのの在留資格」、「外国人の身分に基づく在留資格」の2つに大きく区分されています。
「日本で一定の活動をするための在留資格」が入管法「別表第一」の在留資格です。一方、日本人と結婚した外国人や日系人などに与えられる「外国人の身分に基づく在留資格」が入管法「別表第二」の在留資格です。この「別表第二」の在留資格には就労制限がなく、日本人と同様に、原則、どんな仕事にも就くことができます。
在留資格には3月~5年などの有効期間があり、期限が切れるまでに更新する必要があります。
(2)ビザと在留資格の違い
Q 外国人のビザと在留資格の違いはなんですか
ビザってよく聞くけど、ビザと在留資格の違いって何があるんだろう・・・
A ビザ(査証)は日本に入国する前に出される推薦書です。海外にある日本大使館・領事館が日本に入国する予定の外国人にビザを発給します。在留資格は、外国人が適法に日本に滞在するための許可です。
※詳細については下記をご覧ください。
1 概説
よく留学生が、留学ビザから就労ビザに切り替える、などと聞くことがあります。このように、ビザと在留資格は同じ意味で使われることが多いですが、厳密には二つは別物です。
ビザ(査証)は外務省が取り扱っています。海外にある日本大使館・領事館が日本入国前に発給する3か月限りのもので、日本入国のための書類です。日本領事館などの審査の結果、その外国人が日本に入国することは支障ないと判断されたことを日本の入管局に示す推薦状だと考えられています。ビザ(査証)はパスポートにシールとして貼られます。在留資格の一般的な呼称で、ニュースや新聞などでも在留資格とビザ(査証)をひとくくりにして「ビザ」と呼ぶことが少なくありません。
一方、在留資格は法務省が取り扱う、外国人が日本に在留するために必要な許可のことで、日本入国後に日本国内の入管局が許可するものです。現在27種類の在留資格があり、外国人が日本に入国する際に、外国人の入国・在留の目的に応じて、入国審査官から与えられる「法的な資格(許可)」のことです。中長期滞在者には在留カードが交付され、それ以外の者は、パスポートに証印シールが添付されます。法律上、下記のように考えられています。
【1】日本に在留中の外国人が、一定の活動を行うことができる法的な資格
【2】外国人が一定の身分または地位に基づいて、日本に在留して活動することができる法的な資格
(3)在留資格の決定・変更・更新
Q 在留資格の決定や、変更・更新ってどういうことですか
在留資格の決定とか変更とか更新ってよく聞くけどどういうことだろう・・・
A 在留資格は入管局が取り扱う許可です。車の免許と同様に、許可されると在留資格と在留期間が決定されます。そして、1年・3年などの有効期限が過ぎる前に更新が必要です。留学生が就職する場合などは在留資格の変更が必要です。
※詳細については下記をご覧ください。
1 概説
在留資格は、役所=行政機関が外国人に与える有効期限付きの許可です。自動車の運転免許の制度は、免許を持つ人だけが車を運転できるという制度で、免許には取得、更新や、法令違反の場合には取消しという制度があります。この免許の制度と同様に、外国人が日本に在留するための許可である在留資格にも、日本での活動内容に応じた決定、変更、更新や、法令違反があった場合の取消し、罰則などがあります。
【決定】外国人が日本に上陸したときに、日本での活動内容に応じて、在留資格の種類、在留期間を決めて与えることです。
【変更】一度決定された在留資格を変えることです。例えば、「留学」の在留資格の外国人が日本で就職するときは、業務内容に応じた就労の在留資格に変更することになります。
【更新】許可された期間が満了する前に、次の新たな有効期間を得るための手続です。
イメージとしては、まず外国人が日本に上陸し、日本語学校で学ぶための「留学」の在留資格が決定されます卒業後、大学に入学したあとも、在留資格は引き続き「留学」です。(「留学」の在留資格の間も、在留期間の満了日までに毎回更新は必要になります。)
大学卒業後、就職が決まったら入社する前に業務に応じた就労の在留資格に変更をします。そしてその会社に在職中は、1年もしくは3年などの在留期間の満了日までに毎回更新していくことが必要となるわけです。
(4)在留カードとは
Q 在留カードの確認はどのようにすればいいですか
在留カードの確認はどうやってすればいいのかなあ・・・
A 在留資格、就労制限の有無、在留期間(満了日)などが確認のポイントです。留学生のアルバイトの場合は、在留カード裏面の資格外活動許可欄に「許可」と記入されているかどうかを必ず確認するようにしてください
※詳細については下記をご覧ください。
1 概説
在留カードは入管局が外国人に交付する、運転免許証と同じサイズのカードです。
平成24年7月までは、日本に在留する外国人には「外国人登録証明書」というカードが交付されていましたが、平成24年7月9日に廃止されました。同じ日に改正入管法が施行され、現在は、3か月以上の在留資格が許可・更新された外国人には、法務大臣名で在留カードが交付されます。この在留カードは入管法(第23条1項)により、外国人に常時携帯することが義務づけられています。ただし、16歳未満の外国人には常時携帯の義務が免除されています。
留学生をアルバイトで雇うときは、まず、裏面の在留資格「留学」を見て、在留期間(満了日)の期間内かどうかを確認します。留学生の場合、就労制限の有無欄に就労不可と書かれていますが、裏面の資格外活動許可欄に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と書かれていれば、アルバイトが可能となります。もし資格外活動許可欄に何も書いていなければ、まだ資格外活動の許可を得ていないということですので、アルバイトができません。アルバイトを始める前までに必ず入管局から資格外活動の許可を得る必要があります。
外国人の社員採用を検討するときは、在留資格の欄、在留期間(満了日)を確認し、現在の在留資格が何か、満了日はいつか、を確認します。もし、既に満了日を過ぎている場合は、更新の手続をしていないということであり、在留カードに書かれた在留資格が無効になっています。これは不法滞在の状態になっているので、当然、採用することも、就労することもできません。
なお、在留カードは中長期在留の外国人のみに交付されますので、「3か月」以下の在留期間の外国人、「短期滞在」の在留資格の外国人には交付されません。これらの外国人には、パスポートに在留資格の証印シールが添付されます。また、在留資格を有しない、いわゆる不法滞在者の外国人にも交付されません。特別永住者には在留カードではなく、「特別永住者証明書」が交付されます。
2 対応方法
下記の点を確認してください。
・在留資格
・就労制限の有無
・在留期間(満了日)
・資格外活動許可欄(留学生アルバイトの場合)
(5)外国人が失業した場合在留資格はどうなる
Q 外国人が失業したとき、就労ビザはどうすればいいですか
外国人が失業したとき、就労ビザはどうすればいいのかなぁ。
A 失業しても在留期間の満了日までは在留資格は有効です。ただし、正当な理由なく3か月以上就労していない状態が続くと、在留資格の取消し対象になる場合があります。また、就労の在留資格の更新を希望しても、次の仕事が決まっていないと、就労の在留期間の更新ができません。
※詳細については下記をご覧ください。
1 概説
「技術」、「人文知識・国際業務」などの就労の在留資格の外国人が失業したときは、14日以内に入管局に「所属機関等に関する届出」が必要です。(入管法第19条の16。)就労の在留資格は3年、1年などの有効期間が満了するまでは原則、消失せず、期間満了日までは有効です。しかし外国人が失業し、就労していない状態が続くと在留資格で許可された活動を行っていない状態が続くことになりますので、次の就職先を探すための活動などを行っていない場合、「在留資格の取消し」の対象になることがあります。(入管法第22条の4。)
また、「技術」、「人文知識・国際業務」などの在留期間が1~2か月程度しか残っていないときは、会社に在職中なら「在留期間更新」の手続を行います。しかし失業中は、どの会社にも属していない状態ですので、就労の在留資格の更新は許可されません。在留期間が満了するまでに、新しい就職先が見つかり在留期間を更新するか、または就労以外の在留資格に変更する申請を入管局に終えていなければ、在留期間の満了とともに日本に滞在できなくなり、日本を出国するしかなくなります。
もし失業保険を受給しながら就職活動を行っているような場合は「短期滞在」の在留資格に変更して、就職活動の継続を検討することがあります。入管局が個別に審査して「短期滞在」への変更が許可されれば、許可された期間は就職活動を続けることができます。その期間内に再就職が決まれば、在留資格認定証明書交付申請を行い、一旦帰国してから、再度新たな査証を得てから来日するのが原則です。しかし、どのケースでも「短期滞在」が許可されるわけではありませんので、会社倒産などの場合あやむを得ませんが、安易に離職しない方が賢明です。
大学などを卒業した留学生が卒業時に就職先が決まっていないときは「特定活動」の在留資格に変更して、最長で1年間、就職活動を行うことができます。しかし、既に社会人として働いている外国人が失業したときは、就職活動のための「特定活動」の在留資格を希望しても、原則、許可してもらえません。現在の法令では、留学生以外の外国人には「特定活動」の在留資格は許可されないのです。日本人であれば、再就職先がすぐに見つからなくても雇用保険の基本手当を受けながら就職活動を続けることができますが、外国人が失業したときは、在留資格の誓約があるため日本人と全く同じようには就職活動ができない場合があります。
(6)外国人の永住/帰化
Q 外国人の永住と帰化の違いは何ですか。また、それによって仕事への影響はありますか。
外国人の永住と帰化の違いって何だろう?この違いによって仕事への影響は何かあるのかなぁ・・・?
A 永住者は在留資格の一つで外国人の国籍は変わりません。一方で、帰化は外国人が従来の国籍を失い、日本国籍を得ることになります。
1 概説
外国人が日本に永住・帰化するという表現を聞くことがあります。永住と帰化は、日本に長く住むことができるという点は同じですが、全く別物です。
帰化とは、外国人が法務大臣の許可を得て、日本国籍を得ることです。帰化によって国籍が日本国籍に変わりますので、従来の国籍は失います。また、それまでの外国人としての在留資格もなくなります。申請先は法務局です。
一方、永住は、外国人の国籍は変わりません。永住が許可されると、「永住者」という在留資格が与えられ、無期限に日本に在留することが可能になります。申請先は入管局です。
会社で仕事をするという面では、永住も帰化もどちらも日本での活動制限がなくなりますので、就労制限がなくなり、どんな仕事にでも就くことができます。また、他の在留資格のように1年、3年、5年といった在留期限がなくなり、無期限で日本に住み続けることができます。そのため住宅ローンの借入が可能になります。
「永住者」の外国人には、選挙権・被選挙権(選挙に立候補できる権利)がありません。「永住者」は日本国籍ではありませんので、日本の選挙で投票したり、例えば国会議員に立候補するといった被選挙権がありません。一方で、帰化すると日本国籍を得ますので、選挙権も被選挙権も与えられます。また、日本の公務員になることも可能になります。
(7)技能実習生とは
Q 外国人研修生や外国人技能実習生って何ですか
外国人研修生とか外国人実習生って最近よく聞くけど何なんだろう・・・?
A 外国人の研修生・技能実習生という制度があります。これらは、日本で開発された技能・技術や知識を開発途上国等へ移転すること等を目的とした制度です。
※詳細については下記をご覧ください。
1 概説
外国人を雇用すると聞くと、外国人の技能実習生を雇用することを思い浮かべる人も多いと思います。外国人の研修生・技能実習生の制度は、日本で開発され培われた技能・技術・知識を開発途上国等へ移転すること等を目的とした制度です。日本は、農業・漁業・食品製造・機械・金属・建設・繊維・衣服、その他の分野で中国やベトナムなどから多くの技能実習生を受け入れています。
技能実習生は、海外の技能実習生の送出機関から日本の受入機関に招へいされ「技能実習」の在留資格で働く外国人です。「技能実習」の在留資格は海外の送出機関を通して来日した外国人にのみに付与されます。現在既に日本に住んでいる留学生や外国人を、技能実習生として採用することはできません。「技能実習」の在留資格は許可されないのです。