留学生アルバイトの週28時間ルール|長期休業期間に切り替わる週の労働時間の数え方【弁護士解説】

「冬休みに入ったら、留学生アルバイトを1日8時間働かせてよいのか」——年末年始や春休みを控えた時期に、必ずといってよいほど企業のご担当者からお寄せいただくご質問です。
とりわけ判断に迷うのが、通常の授業期間から長期休業期間へ切り替わる週の取扱いです。「その週はすでに24時間働いているから、残りは4時間までではないか」というご懸念をよく伺います。
本記事では、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)19条2項および同法施行規則19条5項1号の条文構造に立ち返り、切替週の労働時間の数え方を整理します。結論からいえば、実務上注意すべきなのは休業「明け」ではなく、休業入り「前」です。

Contents
  1. 1. 結論|長期休業期間に入れば、前週の勤務時間は通算しない
  2. 2. 前提となる2つのルールと根拠条文
  3. 3. なぜ前週の勤務時間を通算しないのか|条文構造からの解説
  4. 4. 実務上の落とし穴|制限されるのは休業「明け」ではなく休業入り「前」
  5. 5. 長期休業期間中の「週」の上限|入管法と労働基準法は別の基準
  6. 6. 「長期休業期間」として認められるための要件
  7. 7. 違反した場合のリスク
  8. 8. 2026年4月からの在籍管理強化|企業にも波及します
  9. 9. 企業がとるべき実務チェックリスト
  10. 10. よくあるご質問(FAQ)
  11. 11. 外国人雇用の労務管理は、弁護士法人iにご相談ください
  12. 出典・参考法令

1. 結論|長期休業期間に入れば、前週の勤務時間は通算しない

最初に結論を示します。設例として、在籍校の学則上の長期休業期間が2026年12月23日〜2027年1月5日であるケースを考えます。

1-1. 設例と結論の早見表

期間区分就労時間の上限根拠条文
12月20日〜12月22日通常の授業期間1週について28時間以内(1日あたりの上限はなし)入管法施行規則19条5項1号本文
12月23日〜1月5日長期休業期間1日について8時間以内(週の上限は労基法により40時間)同号かっこ書、労働基準法32条1項

したがって、12月20日〜22日に各8時間・計24時間就労していたとしても、12月23日以降は1日8時間の就労が可能です。「12月20日〜26日を1週として数え、24時間を差し引いた残り4時間まで」という考え方は採りません。

本記事の要点
① 長期休業期間に入れば、授業期間中の勤務時間は通算しない。
② むしろ制限されるのは、休業入り前の日(設例では12月16日〜19日)である。
③ 長期休業期間中の「週40時間」は入管法ではなく労働基準法32条1項の規制であり、週の起算日の考え方も入管の運用とは異なる。

2. 前提となる2つのルールと根拠条文

2-1. そもそも資格外活動許可とは

入管法19条1項は、在留資格をもって在留する外国人が、当該在留資格に属しない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行ってはならない旨を定めています。「留学」の在留資格は本来、教育機関で教育を受ける活動を予定したものですから、アルバイトを行うには同条2項の資格外活動許可が必要です。

留学生について実務上一般的に交付されるのは、勤務先を特定しない「包括許可」であり、その内容は入管法施行規則19条5項1号に定められています。

2-2. 通常の授業期間は「1週について28時間以内」

入管法施行規則19条5項1号は、包括許可の内容として、教育機関に在籍している間、1週について28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動(風俗営業等に係るものを除く)を認めています。

ここでいう28時間は、すべての勤務先を合算した総時間です。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、自社での勤務が28時間以内であっても、他社と合算して超過していれば違反となります。

2-3. 「どの曜日から起算しても28時間以内」の意味

出入国在留管理庁の運用では、この「1週」について、どの曜日を起算日としても、常に1週28時間以内に収まっていることが求められます。月単位の平均で判断するのではなく、連続する任意の7日間を切り取ったときに常に28時間以内でなければならない、という厳格な基準です。

起算日対象期間合計判定
月曜起算12月14日(月)〜12月20日(日)24時間適法
水曜起算12月16日(水)〜12月22日(火)32時間超過

上の例のように、月曜起算では適法にみえても、起算日をずらすと超過しているケースがあります。勤怠管理では7日間のスライド窓でチェックする必要があります。

2-4. 長期休業期間は「1日について8時間以内」

入管法施行規則19条5項1号は、上記の原則に対し、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは、1日について8時間以内とする旨を定めています。

夏季休業・冬季休業・春季休業がこれにあたります。重要なのは、この規制の単位が「週」ではなく「日」に変わっている点です。

3. なぜ前週の勤務時間を通算しないのか|条文構造からの解説

3-1. 二重規制ではなく「択一的」な規制である

ご質問の核心は、「1週28時間」と「1日8時間」が同時に適用される二重規制なのか、それとも切り替わる規制なのかという点にあります。

入管法施行規則19条5項1号の文言は、「1週について28時間以内」を原則として掲げたうえで、「在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは、1日について8時間以内」と規定しています。

すなわち、当該日が授業期間に属するか長期休業期間に属するかによって、適用される規制そのものが切り替わる構造です。両者が重畳的に適用されるとは規定されておらず、授業期間中の就労時間を長期休業期間の枠から控除すべき旨の定めも存在しません。

3-2. 設例へのあてはめ

日付曜日区分就労可能時間適用される規制
12月20日日授業期間8時間1週28時間(施行規則19条5項1号本文)
12月21日月授業期間8時間同上(3日間で計24時間)
12月22日火授業期間8時間同上
12月23日水長期休業期間8時間1日8時間(同号かっこ書)
12月24日木長期休業期間8時間同上
12月25日金長期休業期間8時間同上
12月26日土長期休業期間0時間(労基法32条1項による)この週すでに40時間に達するため

「どの曜日から起算しても1週28時間以内」という運用は、28時間規制が適用される日、すなわち授業期間に属する日を規律する基準です。12月23日以降は同規制の適用対象外ですから、12月20日〜26日という7日間の窓を取って24時間+4時間と通算する必要はありません。

3-3. 留意点|切替週に関する公表見解はない

もっとも、切替週の通算可否について、出入国在留管理庁が明文の見解を公表しているわけではありません。上記は条文構造からの解釈です。在留期間更新時の審査リスクを可能な限り抑えたいという方針であれば、切替週のみ全体で28時間以内に抑える保守的な運用も選択肢となります。

4. 実務上の落とし穴|制限されるのは休業「明け」ではなく休業入り「前」

実は、設例において本当に注意すべきなのは12月23日以降ではありません。12月19日以前です。

4-1. 逆算の考え方

12月20日〜22日に計24時間就労するということは、その3日間を含む7日間の窓が、いずれも28時間以内でなければなりません(入管法施行規則19条5項1号本文)。

7日間の窓内訳残り枠
12月16日(水)〜12月22日(火)12/20〜22で24時間12月16日〜19日は合計4時間まで
12月17日(木)〜12月23日(水)12/20〜22で24時間(12/23は対象外)12月17日〜19日は合計4時間まで
12月18日(金)〜12月24日(木)同上12月18日〜19日は合計4時間まで

つまり本件は「12月23日以降が制限される」のではなく、「12月19日以前が制限される」という構造になります。年末の繁忙期に休業初日から8時間シフトを組む場合、その直前の週のシフトをあらかじめ抑えておく必要があるということです。

4-2. シフト設計上の実務対応

  • 学則上の休業開始日をシフト作成前に確認し、カレンダーに落とし込む
  • 休業初日から8時間シフトを入れる場合、その直前7日間の授業期間の勤務を圧縮する
  • 勤怠システムで7日間スライド窓のアラートを設定する(月曜起算の集計だけでは検知できない)

5. 長期休業期間中の「週」の上限|入管法と労働基準法は別の基準

「長期休業期間中は、どの曜日から起算しても週40時間以内であればよいのか」というご質問もよくいただきます。ここは整理が必要です。

5-1. 入管法上は「日単位」の規制にとどまる

入管法施行規則19条5項1号が長期休業期間について定めているのは「1日について8時間以内」のみであり、週の上限に関する明文はありません。したがって、入管の「どの曜日から起算しても」という考え方は、長期休業期間中には持ち込まれません。

5-2. 週40時間は労働基準法32条1項の規制

週の上限を画するのは、使用者に対する規制である労働基準法32条1項です。同項は、使用者は労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない旨を定めています。

規制上限週の起算日の考え方
入管法(施行規則19条5項1号)1日8時間以内日単位のため起算日の概念なし
労働基準法32条1項1週40時間以内就業規則その他で別段の定めをしない限り日曜日から土曜日までの暦週(昭和63年1月1日 基発第1号)

労働基準法上の「1週間」は、就業規則等に定めがなければ日曜起算の暦週を指します(前記通達)。「どの曜日から起算しても40時間」という厳格な基準ではない点で、授業期間中の28時間ルールとは性質が異なります。

5-3. 実務上の上限は「1日8時間×週5日=40時間」

結論として、長期休業期間中の実務上の上限は1日8時間×週5日=40時間と考えるのが安全です。

なお、36協定(労働基準法36条)を締結していれば労働基準法上の時間外労働は可能ですが、入管法上の「1日8時間以内」の枠は超えられません。留学生アルバイトについては、36協定があっても1日8時間を超える勤務は資格外活動許可の条件違反となります。

6. 「長期休業期間」として認められるための要件

6-1. 「学則で定める」ことが要件

入管法施行規則19条5項1号は、「在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間」と規定しています。学年暦やホームページの掲示のみで、学則に根拠がない休業期間は、この要件を満たしません。

受入企業としては、留学生本人を通じて学則の該当部分の写しおよび当該年度の学年暦を入手し、保存しておくことをおすすめします。

6-2. 「教育機関に在籍している間」であること

包括許可の効力は教育機関に在籍している間に限られます(入管法施行規則19条5項1号)。

  • 卒業前の春季休業:在籍中であるため、1日8時間以内での就労が可能
  • 卒業日以降:在籍を失うため、資格外活動許可の効力は及ばず、1日8時間はもとより週28時間の就労もできません
  • 退学・除籍の場合:同様に許可の効力は及びません

4月入社予定の内定者が、卒業後の3月にアルバイトを継続するケースは実務上きわめて多い誤りですので、ご注意ください。

6-3. 在留カード裏面の確認

資格外活動許可の有無は、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」で確認します。「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」の記載があるかを、採用時および在留期間更新のたびに確認してください。

7. 違反した場合のリスク

7-1. 企業側|不法就労助長罪(入管法73条の2)

資格外活動許可の条件を超えて留学生を就労させた場合、事業主は入管法73条の2の不法就労助長罪に問われ得ます。現行法の法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。

重要なのは、同条2項が、在留資格や就労条件を知らなかったことを理由として処罰を免れることはできない(ただし過失のないときはこの限りでない)と定めている点です。「本人が大丈夫だと言っていた」という弁解は通りません。過失がなかったといえる管理体制——在留カードの確認記録、掛け持ち先の申告書、勤怠の週次チェック——を整えておくことが、企業防衛の要となります。

7-2. 2027年4月からの厳罰化

令和6年(2024年)6月に公布された改正入管法により、不法就労助長罪(入管法73条の2)の法定刑は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金へ引き上げられます(施行は2027年4月予定)。
外国人材の受入れ拡大と表裏の関係で、受入企業側の管理責任は確実に重くなっています。

7-3. 留学生本人側の不利益

区分内容根拠条文
刑事罰(専ら就労と認められる場合)3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科入管法70条1項4号
刑事罰(上記以外の資格外活動)1年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその併科入管法73条
退去強制専ら資格外活動を行っていると明らかに認められる場合入管法24条4号イ
在留期間更新更新申請が不許可となるおそれ入管法21条3項(相当の理由)

実務上もっとも多いのは、超過就労が在留期間更新の際の課税証明書・納税証明書から発覚し、更新が不許可となるケースです。企業としても、育成した人材を失うという形で損失を被ることになります。

8. 2026年4月からの在籍管理強化|企業にも波及します

「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を踏まえ、在留資格「留学」の運用は2026年4月以降、段階的に厳格化されています。

8-1. 教育機関による資格外活動の実態把握

従来、教育機関に求められていたのは主として「資格外活動許可の有無の確認」でした。これが、アルバイト先の機関名・活動内容・活動時間まで把握する体制へと強化され、日本語教育機関については3か月に1度の頻度で全学生から確認することが求められる運用となっています。

8-2. 企業側への影響

  • 留学生本人から、勤務シフト表や給与明細の提出を学校へ求められる場面が増える
  • 学校側からの照会に対し、企業として勤怠記録を説明できる状態にしておく必要がある
  • 超過就労が判明した場合、学校から入管庁へ報告される運用が明確化されている

「本人が申告しなければ分からない」という前提は、もはや通用しません。

9. 企業がとるべき実務チェックリスト

  • 在留カード表裏の確認記録を採用時に作成し、保存する(裏面の資格外活動許可欄を含む)
  • 学則の写しと当該年度の学年暦を入手し、長期休業期間をカレンダー化する
  • 他社アルバイトの有無・時間数の申告書を取得し、更新時に再取得する(28時間は合算)
  • 勤怠システムで7日間スライド窓のアラートを設定する(月曜起算の集計のみでは不十分)
  • 長期休業初日から8時間シフトを組む場合、直前7日間の勤務を圧縮する
  • 長期休業期間中も1日8時間・週40時間(労働基準法32条1項)を上限とする
  • 卒業日以降は資格外活動許可が失効することを、内定者にも周知する
  • 在留期間更新のタイミングで、上記一式を再確認する

10. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、28時間は勤務先ごとですか

いいえ。すべての勤務先を合算した総時間で判断します(入管法施行規則19条5項1号)。自社で20時間、他社で12時間であれば合計32時間となり、違反です。採用時および定期的に、他社での就労状況の申告を受けてください。

Q2. 長期休業期間中に、1日10時間働かせることはできますか

できません。入管法施行規則19条5項1号が「1日について8時間以内」と定めているため、36協定(労働基準法36条)を締結していても、1日8時間を超える勤務は資格外活動許可の条件違反となります。

Q3. 卒業後、入社までの3月中もアルバイトを続けてもらえますか

できません。包括許可は「教育機関に在籍している間」に限られるため(入管法施行規則19条5項1号)、卒業日以降は週28時間の就労も認められません。「留学」から就労系の在留資格への変更許可を受けた後に、当該在留資格の範囲で就労していただくことになります。

Q4. ちょうど週28時間であれば問題ありませんか

条文上は「28時間以内」ですので、28時間ちょうどは適法です。ただし、残業や早出が1分でも発生すれば超過となります。実務上は週26時間程度を上限として運用し、余裕をもたせることをおすすめしています。

Q5. 授業期間中に、1日10時間働かせることはできますか

入管法上は、授業期間中は週単位の規制のみで1日あたりの上限はありません(入管法施行規則19条5項1号)。ただし労働基準法32条2項により1日8時間が原則であり、8時間を超えるには36協定と割増賃金(同法37条)が必要です。留学生であることを理由に労働基準法の適用が緩和されることはありません(同法3条・均等待遇)。

11. 外国人雇用の労務管理は、弁護士法人iにご相談ください

11-1. 当事務所の取扱い

弁護士法人i 本部東大阪法律事務所は、入管法と労働法の双方にまたがる論点を一体として取り扱っています。

  • 留学生・特定技能・技能実習の受入れに関する適法性チェック
  • 資格外活動の勤怠管理体制の構築(就業規則・申告書式の整備)
  • 不法就労助長の疑いが生じた場合の初動対応
  • 外国人従業員を含む労務トラブル・紛争対応

継続的な体制づくりをご希望の場合は、外国人労務顧問サービスもご用意しています。顧問契約では、本記事のような個別の条文解釈に関するご質問にも、法的根拠をお示ししたうえで随時回答しています。

本記事の設例のように、条文の適用関係が実務で問題となる場面では、個別の事情によって結論が変わり得ます。判断に迷われた際は、シフト表や学年暦をご用意のうえ、お早めにご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別事案についての法的助言ではありません。最終的な判断は、具体的事情を踏まえて当職が行います。
※法令の引用は著作権法32条の要件に従っています。
※本記事の内容は2026年9月時点の法令・運用に基づいています。

出典・参考法令

  • 出入国管理及び難民認定法 19条1項・2項/21条3項/24条4号イ/70条1項4号/73条/73条の2
  • 出入国管理及び難民認定法施行規則 19条5項1号
  • 労働基準法 3条/32条1項・2項/36条/37条
  • 昭和63年1月1日 基発第1号(労働基準法上の「1週間」の起算に関する行政解釈)
  • 出入国在留管理庁「資格外活動許可について」
  • 出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
  • 改正出入国管理及び難民認定法(令和6年6月公布・2027年4月施行予定)による73条の2の法定刑引上げ
  • 「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に基づく在留資格「留学」の運用厳格化(2026年4月〜)
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