外国人雇用企業が注意すべき点

1 人を雇用したいという企業様の相談でまず仰られるのは

・そもそも、どこから外国人材を採用すればよいのか分からない

・自社で外国人を雇用できるか分からない

・紹介会社から紹介を受ける外国人材の質がよくない。

・どの在留資格であれば当社で勤務できるのかわからない

・入社予定日までに確実に在留許可がほしい。

・外国人の離職率を下げたい

・現在外国人を雇用しているが法令違反状態にないか監査して欲しい

・外国人雇用しているが法令違反状態を改善したい。

というお話をお伺いします。

2 失敗する企業の前提

 まず、念頭において頂きたいのは

「外国人=安価な労働力」ではないということです。

これは在留資格の要件として日本人と同等の賃金をうることが要件となっているばかりか、トップ層がこのようなスタンスであると「組織」に外国人材を「人財」として迎えることができません。

↓その結果

外国人材のポテンシャルを活かしきれないばかりか優秀な外国人材を確保することはできません。

3 優秀な外国人材を確保するためには

 【受入体制構築のフェーズ】

①受入体制の調査(デューデリジェンス)

②就業規則の変更

③人事制度の構築

④相談体制の構築

⑤生活支援体制の構築 

が欠かせません。

まず①受入体制の調査(デューデリジェンス)受入企業の要件をクリアした上で②採用計画の策定により許可要件に適合した学歴・職歴の人材を定義づけます。

ここで強調しておきたいのは

在留審査は受入企業の審査でもあるということです。

在留資格の要件を吟味すると8割方は受入企業の審査でもあることが分かります。このため単に在留資格を取得するだけではなく受入企業の法令遵守が求められます。

4 外国人労務顧問とは

上記【受入体制構築のフェーズ】のうち

①受入体制の調査(デューデリジェンス)

②就業規則の変更

③人事制度の構築

④相談体制の構築

⑤生活支援体制の構築(特定技能外国人支援計画)

については専門家の介入が欠かせません。

特に、新制度特定技能制度を利用しようとする企業は特定技能外国人支援計画(特定技能外国人が活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援の実施に関する計画)の作成が必要となります(入管法2条の5 6項)。

さらに

【採用フェーズ】

採用フェーズ

段階に至っては次の流れにそって採用活動を進めますが

ここでも

ブロックのブロック部分については専門家が介入することで適切な時期に法的助言/選考助言を受けることで貴社の業務に最適な外国人を採用することができます。

【定着フェーズ】

さらに、外国人は日本人と思考背景がことなることに留意しなくてはなりません。

日本人が過去終身雇用という雇用背景が残存しているのに対して外国人は技能や賃金の求めて転職を繰り返すジョブホッピングという思考が背景にあることに留意しなくてはなりません。

例えば:ある中小企業が新規事業として中国から仕入れた商品をネットで販売するという新規事業を立ち上げ新たに中国人Aを雇用したが、3ヶ月後Aがより条件のよい職場に転職してしまい新規事業自体頓挫した例もあります。

また、外国人を雇用した場合に継続して入管に届出等発生し、これを懈怠すると不法終了助長罪に問責されることとなるため継続的に労務コンプライアンスについて監査が必要です。

このフェーズにおいては

 

  • 外国人、外国人技能実習生に向けた法的保護研修
  • 外国人向けキャリアステップの策定(異動する場合在留資格の変更の可否)
  • 外国人雇用企業の任意監査(法令適合監査)
  • 監理団体(である場合)外部監査
  • (仮に法令違反あれば)改善計画策定
  • 在留資格の更新/変更手続

が必要となります。

【退職フェーズ】

1 外国人が退職する場合にも日本人とは異なる手続があります。

・在留資格変更等に必要な退職証明書(労基法22条)の交付

・(外国人が)契約期間に関する届出をする

・(外国人が)出国する場合の厚生年金の脱退一時金の請求

・(外国人が)転職する場合には在留資格の変更が必要

・就活するのであれば雇用保険手続

2 退職時のコンプライアンスにも留意必要です。特に外国人は勤務日本企業に帰属意識が薄いことが多く本国に帰ってしまうと以前の職場に離反する動きをする可能性もあります。

そのため

・競業避止の合意

・退職後の秘密保持義務の確約(不正競争防止法の告知)

 など、退職後の紛争予防対策が必要となります。

3 さらに退職が自主退職ではなく解雇などであれば(解雇が法的制約が厳しいことは無論ですが)、さらに外国人はコミュニティによる結束が強固であるために、慎重に行わないとコミュニティ内での風評被害による損害を被る可能性も注意が必要です。

弊事務所では各フェーズごとに外国人労務顧問として適時適切な助言または共同して体制構築することで企業様が安心して継続的に外国人を雇用できる体制を構築いたします。

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