外国人解雇トラブル

「外国人労働者を解雇したところ、不当解雇であるとして訴えられてしまった」

「雇用していた外国人が在留期間を更新できなかったので、解雇したい」

 

解雇が認められるためには

解雇とは. 雇用主が、労働者に対し、一方的に労働契約の解約を言い渡すことをいいます。解雇条件を満たしていないか、法定の解雇手続が取られずに解雇した場合には、不当解雇となり解雇が認められず、損害賠償請求が認められることとなります。

 

そして、雇用が認められるためには、①普通解雇、②懲戒解雇、③整理解雇、のいずれかの要件を満たす必要があります。そして、これらの解雇の要件に関しては、外国人に関しても日本人と変わるところはありません。

 

普通解雇

普通解雇とは、懲戒解雇・整理解雇以外の解雇の総称をいいます。

 

普通解雇が認められるためには、①就業規則等に解雇理由を定めた上で(労働基準法89条3号)、②30日以上前に解雇予告をし(同法20条)、③解雇理由に客観的合理性、社会的相当性が認められる必要があります(同法16条)。

 

また、法令上の解雇制限に違反する解雇は認められません。たとえば、労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労働基準法3条)や、育児休業・介護休業等の申出を理由とする解雇(育児介護休業法10条)は認められません。

 

懲戒解雇

懲戒解雇とは、企業内秩序を著しく乱した労働者に対して行う解雇のことです。

 

懲戒解雇を行う場合は、就業規則等に懲戒解雇に関する事項が明確に規定されたうえで、解雇理由に客観的合理性、社会的相当性が認められることが必要とされます。解雇理由の合理性や相当性が認められる場合としては、職務上の地位を利用して犯罪を犯した場合や、重大な経歴詐称、長期間の無断欠勤をした場合等が考えられます。

 

なお、懲戒解雇が認められる場合には、普通解雇とは異なり、30日前の解雇予告が必要なく、即日解雇も認められます。

 

整理解雇

整理解雇は、人員整理を目的として労働契約を解除するものをいいます。

 

整理解雇の要件については、法律には明文の規定はありません。判例の積み重ねにより、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務の履行、③被解雇者選定の合理性、④手続の相当性、という4つの規範が形成されています。

 

在留期間の更新が認められなかった外国人の解雇

外国人従業員が在留期間を更新できなかった場合、当該外国人の雇用を続けることは、不法就労助長罪となります(入管法73条の2第1項1号)。そのため、在留期間の更新が認められなかった外国人を雇用してはなりません。

 

また、在留期間が更新されなかったことは、普通解雇における、「解雇の客観的合理性、社会的相当性」の該当事由として考慮されるため、当該外国人を適法に解雇することが可能となります。

 

解雇は対象者の生活の糧を奪う重大な手続ですので、解雇にあたりトラブル化することが多くあります。トラブルを避け、スムーズな解雇を実現するためにも、まずは弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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