実習実施者の実習認定後の手続

実習実施者の実習認定後の手続き

技能実習生を受け入れている実習実施者には、技能実習計画について実習認定を受けたあとも、行わなくてはならない手続きがあります。

手続きに不備があったり、そもそも怠ったりすると、技能実習法に則り大きなペナルティを負うことになります。

最悪の場合、実習認定が取り消される可能性もあるのです。

以下の画像は、法務省と厚生労働省が共同で出した資料から抜粋したものです。

届出・報告一覧(実習実施者)

一覧で見ると、かなりたくさんの届出が必要な上に、それぞれに異なった期限や条件、注意事項などがあるのがわかります。

確実に技能実習を行うためには、手続きの流れを正確に把握しておかなくてはなりません。

本記事では、実習実施者がすべき実習認定後の手続きについてお伝えします。

具体的には、

・実施の届け出

・技能実習計画の認定/変更認定養成

・技能実習計画の変更の届け出

・実施状況の報告

・実習実施困難時の通知

について、それぞれ簡単にまとめます。

実施の届出

技能実習法では、実習実施者は、技能実習を開始したときに届け出を行うよう定めています(技能実習法17~22条)。

これは、主務大臣が、技能実習の実施者はどのような事業者なのかなどについて、網羅的かつ体系的に把握し、正しく指導/監督するために必要な届出です。

実習実施者は初めて技能実習生を受け入れて、実際に技能実習を開始したときには、遅滞なく以下の事象を機構の地方事務所や支所に届けなくてはなりません(技能実習法違反17条・18条)。

①技能実習を開始した日

②届け出者の氏名又は名称及び住所

③技能実習計画の認定番号および認定年月日

ただし、この届出は当該実習実施者が「初めて」技能実習計画の認定を受けて技能実習を開始したときのみでかまいません。

技能実習計画の変更認定申請

実習実施者は、すでに認定を受けた技能実習計画について、技能実習計画(技能実習法8条2項)を変更しようとする時は、変更の度合いに応じた対応をしなくてはありません。

対応には、大きく分けて3つあります。

①重要な変更→変更認定が必要

②通常の変更→技能実習計画の変更の届出

③些細な変更→届出不要

①の重要な変更をする場合は、事前に変更認定を受けなくてはなりません(技能実習11条1項)。

変更認定を受けるためには、

・変更事由に応じた書類の提出

・監理団体の技能実習計画にかかる指導

・手数料の納付

が必要です。また、認定基準(技能実習法9条)に適合するか、欠格事由(技能実習法10条)に該当しないか、も確認されます。

②の技能実習計画の変更の届出は、原則変更予定日の6ヶ月前から受付可能です。

ただし、技能実習の区分を事後的に変更することはできませんので、注意が必要です。

技能実習計画の変更の届出については、次の項でもう少し詳しく説明します。

技能実習計画の変更の届出

技能実習計画の通常の変更をする場合には、機構の地方事務所/支所の認定課に、技能実習計画変更届出書を提出しなくてはなりません。

通常の変更とは、「目標や職種・作業にかかるものでなく、かつ、認定計画に従った技能実習の実施に実質的な影響を与えない変更」のことを指します。

届出をするときは、変更となる届出事由(実習実施者の住所変更、実習生の国籍の変更など)に合わせて提出内容を変えなくてはなりません。

団体監理型の技能実習である場合は、実習監理を受ける監理団体の指導に基づいて届け出なくてはなりません。

届出書面の提出は、変更となる事由が発生した日から1ヶ月以内に行います。機構の地方事務所あるいは支所の認定課に、技能実習計画軽微変更届出書を提出してください。

なお、一度届出が受理された後に、機構が技能実習計画認定の要件に適合しないと判断した場合は、変更届の内容を修正するよう指導がなされることもあります。

指導に従わない場合は、最悪の場合技能実習計画の認定取り消しや、改善命令などの措置が取られます。

実施状況報告

実習実施者は、技能実習を行った場合は、実施状況をまとめた報告書を作成しなくてはなりません(技能実習法18条、21条)。

提出先は、機構の地方事務所・支所の認定課です。

実施状況報告書は、技能実習事業年度ごとに、毎年一度、所定の書式で提出しなくてはなりません。

提出期限は、次年度の5月31日までです。

団体監理型の技能実習を実施している場合は、実習監理を受ける監理団体の指導にしたがって報告書を作成し、提出しなくてはなりません。

実習実施困難時の届出

団体監理型の技能実習を行う実施者は、技能実習を行わせられなくなったときは、「実習実施困難時の届出」を遅滞なく実習監理を受ける監理団体に提出しなくてはなりません(技能実習法19条2項)。

報告するべき内容は、

①届出者の実習実施者届出受理番号 氏名あるいは名称 住所

②技能実習計画の認定番号 認定年月日および技能実習の区分

③技能実習生の氏名 国籍 生年月日 年齢 性別

④技能実習を行わせることが困難となった事由ならびにその発生時期および原因

⑤技能実習生の現状

⑥技能実習の継続のための措置

です。

届出を受けた監理団体は、機構の地方事務所・支所に技能実習実施困難時届出を提出しなくてはなりません。

通知や届出を出す場合には、「技能実習生が技能実習を継続したいとの希望を持っているか」が重要です。実習実施者も監理団体も、この点を必ず確認しなくてはなりません。

継続を希望している場合は、他の実習実施者や監理団体と連絡をとり、必要な措置を取る必要があります。

実習生の意思で技能実習の実施が困難となった場合

①技能実習生が技能実習の途中で帰国することとなる場合

②技能実習生が失踪した場合

も機構への技能実習実施困難届出が必要です。

①の場合、技能実習生に対して、意に反して技能実習を中止して帰国する必要は無いことの説明や、帰国の意思確認を十分に行います。書面でのやり取りが望ましいです。

以上の確認をした上で、機構へ必要書面の提出を行います。

これは、過去に実習生本人の意に反して、実習途中で帰国させるという事案が発生したことを受けて決められたことです。

②の場合も技能実習実施困難時届出が必要です。ただし、実習生が失踪した場合は、入管法上の在留資格取り消し手続きの対象となります(入管法22条の4項5号6号)。

技能実習に関する相談は弊事務所まで

ここまでご覧いただいたように、技能実習認定を受けた後も、実習実施者にはしなくてはならないことがたくさんあります。

そのどれもが複雑な制度の元に成り立っている上に、不備があれば大きなペナルティが控えているのです。

 

ご自身での手続きに少しでも不安を感じているのであれば、技能実習法に詳しい法律専門家に相談するのをおすすめします。

技能実習法や入国管理法は、法律のなかでも特に複雑で、専門的な知識を持っている弁護士は少数です。

 

弊事務所では、外国人雇用や、ビザの取得、監理団体の外部監査などの経験豊富な弁護士が在籍しています。

使用者様からのご相談は初回無料でお受け付けいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

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