技能実習生を受け入れるまでの流れとは?

技能実習生受け入れまでの流れ

技能実習生を受け入れることを検討し始めたものの、実際の手続きの流れがどうなるのかよくわからないという企業様は数多くおられます。

特に初めて実習生を受け入れる場合に、複雑な制度や手続きに驚かれる方が多いようです。

この記事では、技能実習生を受け入れるまでの流れについて説明します。

受け入れるまでの全体の流れ

技能実習の受け入れの手順を簡単に箇条書きにすると、

・受け入れの申込み

・求人の募集/面接の実施

・入国の準備

・受け入れの準備

・入国前後の研修

・配属

という流れになります。

それぞれのフローで必要なことや注意すべき点について説明します。

受け入れ申込み

技能実習生の受け入れには2つの方式があり、一般的なのは「団体監理型」です。監理団体と呼ばれる非営利団体(協同組合や商工会など)が技能実習生の受け入れを実施して、その加盟企業が実習実施者として技能実習を行うのです。

もう一つは監理団体を介さず、企業自身が直接技能実習生の受け入れを行う「企業単独型」というものがあります。

が、2018年の調査では受け入れの97.2%が団体監理型ですので、この記事では基本的に団体監理型についてお話していきます。

団体監理型で技能実習生を受け入れるのであれば、まずは監理団体への申込みが必要になります。制度の詳細や、組合などの加入方法についての説明がありますので自社に適しているかどうかを担当者に相談しながら確認しましょう。

監理団体は、技能実習生が入国する前から実習を終えて帰国をするまで、彼らが日本で安心して技能実習を行えるように、また実習実施者が滞りなく実習生を受け入れられるようにサポートを行います。

これからの技能実習のパートナーとも言える相手ですから、選ぶ際にはいくつかのポイントを重視しましょう。

対応可能な地域・職種や送り出し国 

監理団体は定期的に実習実施者の元を訪れます。自社が監理団体の対応地域に該当している必要があります。また、監理実績が多い職種や、送り出し国などは、監理団体ごとに特徴があります。自社の希望している職種や採用したい地域の人がいる場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。

許可区分

監理団体には、一般監理事業許可と、特定監理事業許可の2つの区分があります。

一般監理事業許可を得た監理団体は、技能実習1号、2号、3号の受け入れを行えます。

一方、特定監理事業許可を得た監理団体は、技能実習1号、2号のみ受け入れが可能です。

技能実習生の採用活動

採用計画の作成

パートナーとなる監理団体が決まれば、実際に技能実習生の採用活動を始めることになります。

まず、監理団体と相談しながら、採用計画を作成します。

・どのような職種の人材を求めるか

・いつごろ採用するか

・何人採用するか

・採用する国籍に希望はあるか

などを検討していく必要があります。技能実習生の受け入れが一度きりではなく、定期的に実施する予定なのであれば、その点についても相談しておくとよいでしょう。

求人

採用計画の作成が終わると、監理団体を通じて現地での求人が始まります。求人は、採用希望国の送り出し機関が行います。

事前に、送り出し機関へどのような人材を求めているのか、どのような仕事をする予定なのかを伝えておく必要があります。

面接

事前に提出した採用条件にマッチした希望者と面接を行います。かつては実習実施者の職員が現地へ赴いて直接面談することが多かったのですが、近年は新型コロナ感染症などの影響を受け、オンラインで行うことも増えてきています。

面接だけでなく、実習内容への適性を見るためにペーパーテストや実技テストを行う場合もあります。

入国書類の準備

採用する人材が決まったら、日本への入国に必要な書類を揃える準備が始まります。

その中でも最も重要だと言えるのが、技能実習認定計画です。

これは技能実習生それぞれに作成され、

・どのような作業や技術を学び実践するか

・どれくらいの期間をかけて実習するのか

・どのような目標をもって実習を行うのか

といった内容を記載します。

この技能実習認定計画の審査には提出から約3ヶ月かかります。時間に余裕を持った申請が望ましいでしょう。

技能実習認定計画の許可がおりたら、今度は在留資格取得の申請を行います。

在留資格取得の手続きについては、基本的に監理団体が進めることが多いようですが、実習実施者も申請書類の作成や内容確認などで携わることがあります。

責任者・指導員の選任

技能実習生側の準備を進めるとともに、受け入れる企業側の準備も進めていかなくてはなりません。

技能実習生を受け入れるにあたっては、

・技能実習責任者

・技能実習指導員

・生活指導員

を選任しなければなりません。それぞれの役職について説明します。

技能実習責任者

この役職は、技能実習実施者ごとに専任する必要があります。また、この役職になるためには、過去3年以内に技能実習責任者等講習を修了していなければなりません。

その他、実習実施者の常勤の役員あるいは職員であること、自身以外の技能実習指導者や生活指導員など技能実習に関わる職員を指導できる立場であることも求められます。

技能実習全体の管理を行う責任者で、後に説明する技能実習指導員や生活指導員などを含めた、技能実習にかかわる社員を監督指導したり、実習計画の進捗を確認したりすることが求められます。

技能実習指導員

この役職は、実務経験が5年以上ある常勤職員でないとなれません。また、実習生を複数の現場に配属する場合は、現場ごとに実習指導員が必要です。

技能実習生を直接指導する立場となるため、実習計画を行うにあたって非常に重要な役割と言えます。指導を行う他、目標の達成状況を公正に確認する役割も担います。

生活指導員

生活指導員も、常勤の職員より1名以上を選任しなければなりません。この役職は、実習生の身の回りの世話をするなど日本での生活をサポートします。ときには、相談窓口になることもあります。

文化の違いにより普段の生活で困った事があれば対応したり、日本での暮らし方について基本的な説明をしたりします。

受け入れ準備

また、住居や生活に必要なものの用意も進めなくてはなりません。

技能実習生の住居の規定は、1人あたり4.5㎡以上のスペースが必要だと定められています。

が、これはあくまで最低限の基準なので、できる限り大きなスペースを確保するようにしましょう。

勤務先まで、徒歩や自転車での通勤が可能な距離の場所を選ぶとよいでしょう。

生活必需品は、基本的に日本人が一人暮らしをするときと大きな違いはありません。

全てが必須なわけではありませんが、できる限り快適に過ごせるような配慮が必要です。

入国前後の研修

入国前後には、日本で円滑に実習を始められるように研修を実施します。

入国前には、現地の送り出し機関が研修を実施します。日本語でのコミュニケーション能力は勿論、交通ルールやゴミの分別方法など日本社会での生活の仕方についても学びます。

入国後も約1ヶ月集中して講習を受講します。

日本語や日本での生活習慣を改めて学習するとともに、技能実習法や入管法などの制度を学んだり、働く企業や業界の専門用語や作業用語を勉強します。

配属 

講習が終わると、いよいよ実習生が配属されます。

監理団体の職員の方が引率し、市役所など役場での転入手続きや、銀行などでの口座開設の手続きを行ってから企業に向かうことが多いようです。

会社についたら、会社の就業規則などの説明を行います。その後寮の案内などを行って、荷物整理をし実習開始へ備えます。

配属にあたっては、企業側にもしなければならない手続きがあります。

例えば、

・雇用条件書の再締結

・社会保険/雇用保険の加入手続き

・実習実施者届け出書提出

・入社時のオリエンテーションや安全教育等

などが考えられます。

受け入れにかかる費用

技能実習生の受け入れにかかる費用は、大きく分けて

・初期費用

・入国前にかかる費用

・入国後にかかる費用

・実習が始まってからかかる費用

の4つがあります。

それぞれについて説明します。

初期費用

初期費用は、10~20万円程度が必要です。

監理団体に加入する場合の加入金や、渡航費などが含まれます。特に、面接の際に担当者が現地まで赴く場合はその費用がかかります。

そのほかにも、公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)に加入する場合に、加入金が必要なこともあります。

入国前費用

入国前費用は、20~30万円程度が目安です。

母国での講習を行うための費用や、在留資格取得のための申請費用、来日するための渡航費などが含まれます。

入国後費用

入国後費用の目安は、15~20万円程度です。

技能実習生総合保険の加入や、雇入れ前健康診断の費用、日本国内で実施する講習費用、国内講習手当などが含まれます。

実習開始後費用

実習が開始してからの費用は、ケースによって様々なので具体的な目安を挙げるのが難しいです。

監理団体へ支払う監理費、送り出し機関へ支払う管理費、技能検定寮、在留資格変更や更新に必要な費用などがあります。

その他、技能実習生に支払う給与も必要です。

技能実習生の受け入れを検討しているなら弊所へご相談ください

ここまで、技能実習生を受け入れる場合の流れや手続き、費用について説明してきました。

1人の実習生を受け入れるためには、たくさんの手続きなど準備が必要なことをご理解いただけたかと思います。

弊所では、技能実習生の受け入れを検討されている企業様のサポートを実施しております。

採用前の段階から、実習を開始した後までで発生する様々な手続きやトラブルについて、経験豊富な弁護士がご相談を伺いますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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