外国人雇用において活用できる助成金は?申請に向けた要件とは

外国人雇用における助成金活用

近年、国内の人材不足を受けて、外国人労働者の受け入れを促進する風潮が顕著になってきました。国も、「特定技能」という即戦力人材のための在留資格を新設し、外国人労働者の受け入れのための制度を着々と整えています。

ただその一方で外国人雇用については、日本人の雇用と比較して外国人雇用特有の経費がかかることもあり、実際に雇用を検討したい企業様においても躊躇してしまうとのご相談を当事務所にもいただいております。

本当に人手不足に悩む中小企業にとって、外国人雇用の経費の支払いが出来なければ課題は解決せず人手不足倒産を余儀なくされてしまう可能性も少なくありません。

本記事ではそのような外国人雇用を検討しており資金面で躊躇されている企業様に向けて、外国人雇用に活用できる助成金と、助成金申請を行う際に準備すべき対応について解説いたします。 しっかりと就労環境を整備したうえで助成金活用を行うことで、中小企業様の場合でも外国人雇用で安定経営を目指していけるようにサポートできればと考えております。

外国人雇用において活用できる助成金の種類

外国人雇用において助成金を活用できるのは、以下の3種類です。 日本人・外国人双方で活用できる助成金と、外国人雇用によって活用できる助成金がございますので、各種条件や概要について解説いたします。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

こちらの助成金は、上記とは異なり外国人労働者に特化した助成金です。外国人労働者が職場に定着して継続して活躍いただけるような環境をつくることを目的としています。

キャリアアップ助成金(正社員化支援・処遇改善支援)

こちらは、非正規雇用を行っていた従業員を正社員化する等して、処遇改善を行うことで適用される制度です。国籍に関する条件は設けられていないため、こちらの日本人・外国人双方で活用が検討可能です。具体的には賃金改定や社内全体の制度変更に関するキャリアアップ計画を作成いただき、管轄労働局長の受給資格の認定を受け計画を実行していく必要があります。

人材開発支援助成金(特定訓練コース)

こちらは、職務に関連した専門知識・技能の取得のための訓練中における賃金と経費が一部補助される制度です。200時間以上の訓練の場合に、最大で50万円の補助が出ます。

こちらは日本人の従業員を対象としておりますが、外国人雇用の場合にも一部在留資格であれば、適用可能性があります。

本記事では特に人材確保等支援助成金にフォーカスをあてて解説いたします。

 

 

人材確保等助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは?

概要

近年の人手不足の影響で外国人雇用を行う企業数が増加傾向にはあるものの、日本の労働法制や雇用慣行等に馴染み切れなかったり、外国人側への寄り添ったサポートがなかったりすることで、失踪や離職に関するトラブルも発生してきております。

このような外国人特有の事情に考慮して、就労環境の整備や外国人労働者が職場に定着するように取り組む事業主に対して、経費の一部を補助する助成金となります。

出典:厚生労働省『人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

助成金の要件

厚生労働省より提示されている主な受給要件は下記となります。

1.外国人労働者を雇用している事業主であること

2.認定を受けた就労環境整備計画に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置(1及び2の措置に加え、3~5のいずれかを選択)を新たに導入し、外国人労働者に対して実施すること

 a.雇用労務責任者の選任

 b.就業規則等の社内規程の多言語化

 c.苦情・相談体制の整備

 d.一時帰国のための休暇制度の整備

 e.社内マニュアル・標識類等の多言語化

3.就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下であること

2に記載をさせていただいているように、外国人労働者の定着に向けた就労環境を整備するための対応策を講じて、その結果実際に外国人労働者の離職率の低い体制を構築できた事業主様に助成される形となります。

要件を満たすために必要な対応

上記の主な受給要件の内容から実際に事業主が何の対応をすべきかをみていきます。

2の就労環境整備措置に関する各ポイントを整理いたします。

【外国人労働者を十分に理解している責任者を設置する】

受給要件の“雇用労務責任者の設置”がこちらにあたる対応です。ただこちらは設置をするのみではなく、責任者が外国人労働者の業務内容を十分に把握したうえで、外国人労働者に対して日本の労働法制や社内ルールを認知していただくように対応をすることが理想的です。

 

 

【外国人でも理解できるような社内規程・マニュアルを母国語で共有する】

外国人材が日本の労働法制や雇用慣行を理解できない理由の1つとして、渡されている雇用契約書・就業規則等の社内規程を十分に把握していないことが挙げられます。日本語はもちろんですが、英語圏ではない国籍の方にとっては英語の社内規程も十分に理解できていない可能性が高いです。雇用している外国人労働者の母国語で社内規程を共有することで、企業ルールを理解していただくことに繋がります。

 

 

【帰国や就労上でのトラブルが相談できる体制をつくる】

日本人労働者も同様に、企業への定着に繋がることは“働きやすい環境であるか”という点です。言語の壁があるなかで日本人従業員とのコミュニケーションをとることは容易ではなく、外国人労働者は企業に所属していながら疎外感を感じやすい傾向にあります。

上記の責任者が定期的な面談時間を設けて悩みを解決したり、母国で暮らす家族に関するトラブルが起きた場合には一時帰国の際の支援をしたりすることで、外国人労働者にとっても企業への意識が上がり、結果的に定着に繋がることができます。

このような就労環境の整備は、「特定技能」で雇用をする場合に必要な義務的支援とも重複する、外国人雇用企業は今後対応が必要になる対応策です。

今のうちから対応できる体制を構築することによって、助成金活用のみではなく結果として外国人材の定着・企業の継続的な発展に繋げることができます。

当事務所でサポートできること

当事務所では助成金申請に関するサポートのみならず、外国人雇用に関するトータルサポートを行っております。適法な外国人雇用の実現に向けて、入管法・労働法に精通した専門家との連携をご検討いただけますと幸いです。

外国人雇用に関するご相談対応

外国人雇用に関するトータルサポートに向けた、ご相談に対応しております。

「現在雇用を検討しているが、うちの企業で雇用は可能?」

「現在の雇用管理体制において問題がないか、チェックをしてほしい」

「助成金を活用したうえで、外国人雇用の体制を見直していきたい」等

助成金に関するご相談はもちろん、外国人雇用に関する全般的な内容についても対応可能ですので、疑問点等あればぜひお気軽にご相談ください。

助成金申請に向けた体制構築

今回メインで解説をさせていただいた「人材確保等助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」の受給要件である各種就労環境の整備関する体制構築や、キャリアアップ助成金申請の際の「生産性要件」を満たすための体制構築に向けた対応が可能です。

実際に助成金を活用していくには中長期的な体制構築を見据えた対応が必要です。

現時点でご検討いただいている段階から専門家にご相談いただくことをおすすめします。

助成金申請のサポート

また既に受給要件が満たせている企業様におかれましては、助成金申請に関するサポートも行っております。

助成金受給までの離職率・生産性向上の実績の把握をしておく必要があるため、基本的には顧問契約を締結させていただいた企業様に限定をしておりますが、スポットでご依頼をご検討されている企業様は別途お見積り算出をさせていただきますので、ご相談いただけますと幸いです。

外国人雇用において活用可能な助成金はあるものの、いずれもしっかりと就労環境の整備やそれに伴った実績を出していくことが必要になります。 外国人雇用に精通した専門家と連携をすることで、適法な受入体制を整備していくことをおすすめします。

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